タイ西部のカンチャナブリ県が、「世界の映画製作の町、ユネスコ創造的な映画都市へ」というスローガンのもと、国際映画産業に向けた大規模イベントを開催しました。会場となったのは、カンチャナブリ・ムアン地区のソンクウェ・スカイウォーク前にある国王六十周年記念パビリオンです。開会式では、同県で撮影されたタイ映画やハリウッド映画『戦場にかける橋』などを紹介する展示が行われ、カンチャナブリのロケ地としての魅力がアピールされました。

この取り組みは、ユネスコの「創造都市ネットワーク」映画部門への参加を目指すもので、映画を通じた経済成長、観光振興、地域産業の活性化、そして国際的な映像コンテンツ制作の拠点としての地位向上が狙いです。イベントでは、プロの映画制作者によるセミナーや学生向けのワークショップも開催され、若い世代の育成にも力を入れています。また、地元の起業家やホテル、レストラン、物流業者など関連業界とのネットワーク構築を促進することで、持続可能な経済基盤を支えるプラットフォームとしての役割も果たします。こうした「文化を通じた開発」のアプローチは、タイのソフトパワー戦略の一環でもあり、カンチャナブリが単なる撮影地にとどまらず、創造力と物語に満ちた都市として世界に向けてその存在感を示そうとしています。カンチャナブリの挑戦は、タイ全体の映画・デジタルコンテンツ産業の未来を切り拓く動きとして注目されています。