タイ労働省は、タイの労働水準を国際基準へと引き上げ、ASEANおよび世界の舞台での認知を目指し、国際的な労働協力を積極的に進めています。
五月十二日に開幕したAPEC人材開発大臣会合を前に、ピパット・ラチャキットプラカーン労働大臣は、韓国とマレーシアの担当大臣と個別に会談を行い、労働協力について意見を交わしました。
まず、韓国のキム・ミンスク労働雇用大臣代行との会談では、現在、韓国で深刻化するサービス業、レストラン、ホテル、高齢者介護分野の人手不足に対応するため、タイ人労働者の雇用促進について協議が行われました。キム氏は、両国の協議が、労働の国際基準化に向けたタイのビジョンを体現していると評価しています。
両国は、合法的な労働者の派遣や技能開発、韓国におけるタイ人労働者の権利保護を含む包括的な協力体制の拡充で合意しました。現在、韓国では五十〜六十五歳の女性労働者が中心となっていますが、高齢化の進行に伴い、タイの熟練労働者の活躍が期待されています。また、タイ人労働者は、規律正しく勤勉であると、韓国の雇用主から高く評価されていることも確認されました。
一方で、ピパット大臣は、韓国におけるタイ人労働者の生活水準を今後も注視し、保護していく姿勢を強調。今回の協議は、単なる労働力の派遣を超え、国際的に安定した生活基盤を築くというタイの政策方針を示すものでもあります。
さらに大臣はマレーシアのスティーブン・シム・シ・ケオン人材開発大臣とも会談しました。両国は、ASEAN地域における労働開発のリーダーシップを発揮し、特にグリーン経済と単発の仕事を請け負うギグワーカーに関する分野で、協力を深めることで一致しました。
タイ側からは、「ワン・デスティネーション・トゥ・シティーズ」という新たなコンセプトが提案されました。これは観光を通じて雇用を生み出し、ASEANの各都市に経済的利益を還元していくという構想です。
スティーブン大臣は、マレーシアが七月に労働保護法の提案を予定しており、タイとの知見共有に前向きな姿勢を示しました。両国は、労働こそが地域経済の基盤であるとの認識で一致しています。
最後に、ピパット大臣は、タイ人労働者が今後も国際的なスキルを身につけ、テクノロジー産業やグリーン経済といった世界の変化に対応できるよう、質の高い人材育成を目指すと強調。労働省がその中核的な役割を担っていく考えを示しました。