タイ医療界にとって、画期的な一歩です。チュラロンコン病院の医療チームとタイ赤十字社は、閉塞性睡眠時無呼吸症候群（オーエスエー）の患者に対し、タイで初めて、アジアで四例目となる新技術による手術を成功させました。この技術の導入により、患者の治療の選択肢が広がり、生活の質の向上が期待されています。チュラロンコン病院睡眠医学センター長で、タイ睡眠障害協会会長も務めるナールチャ・チラカーンワサン准教授によりますと、オーエスエーは一般人口の最大十四パーセントに見られるとされ、いびきや夜間の頻繁な覚醒、日中の異常な眠気といった症状で知られています。さらに、放置すれば心疾患などの重大な合併症を引き起こす可能性もあります。通常の治療法は陽圧呼吸療法（シーピーエーピー）ですが、すべての患者がこの療法を受け入れられるわけではありません。そうした中、医療チームは新しい手術法として、第十二脳神経にあたる「舌下神経」を刺激するデバイスを体内に埋め込む「エイチジーエヌエス手術」を実施しました。中等度から重度のオーエスエー患者に対して行われたこの手術は、小さな切開で済み、回復も早く、効果も高いとされています。この治療法は、二〇一四年にアメリカ エフディーエーで承認されており、安全性と有効性が国際的にも確認されている技術です。今回、チュラロンコン病院が、日本、シンガポール、香港に次いでアジアで四番目の実施医療機関となりました。チュラロンコン病院院長で、同大学医学部の学部長も務めるチャンチャイ・シッティパン准教授は、タイ初の成功を「非常に喜ばしい成果。この手術法は、従来の治療が困難だった患者にとって新たな希望になる」と述べました。なお、この治療を希望する方は、専門医による適切な診断と適応評価が必要です。