「幹細胞(Stem Cell)から作られた生体角膜」寄付を待たずに目の治療が可能になる希望

     「角膜移植手術」は、角膜の病気による異常な視力を改善するために、病気の部分を摘出し、正常な角膜を移植する手術です。この手術では通常、病気の角膜を移植するために他の人からの角膜の提供を待つ必要があります。これは、角膜の病気が薬や他の医療手段では治療できない場合に適しています。

     “幹細胞(Stem Cell)から生み出された生体眼角膜” は、NSTDA Startup の一員であるバイオテック (National Center for Genetic Engineering and Biotechnology: BIOTEC) と ReLIFe Co., Ltd. そしてChulalongkorn 大学が共同で開発したものです。この生体眼角膜は、寄贈された角膜や人工材料を使用する代わりに、寄贈の必要性を減らし、リスクを軽減することを目的としています。角膜は寄贈が可能な臓器ですが、寄贈を受けることが難しい国や医療インフラが整備されていない国もあります。また、角膜の寿命が短いため、遅延された寄贈や適切でない方法での保存は、角膜の品質を低下させる可能性があります。そのため、多くの国で問題が発生することがあります。

      角膜の不足があり、対象国に寄付することが難しいため、研究チームは自然に最も近いFiber-reinforced hydrogel技術を開発しました。この角膜は、Electrospinningという技術によって作られます。このジェル状の材料は人間の角膜に似た特性を持ち、患者に移植するための細胞支持体として利用されます。

     手術において、角膜支持体と幹細胞が患者の眼に移植された後、幹細胞は徐々に角膜支持体を栄養として取り込み、自然な角膜の形に成長します。この方法により、全ての面で角膜と同等の特性を持つ細胞が安全につくられるため、患者の免疫系による拒絶反応を避けることができるのです。

     この技術は生体による角膜が新しく作られるため、患者は新生児のように透明な視界を取り戻すことができます。これは、亡くなった方の角膜が死亡時点の年齢によって老化しているため、濁った視界になる可能性があるからです。さらに、この技術は一般的な使用と患者の眼の特性に応じた特別な製造が可能なふたつの選択肢を研究チームは開発しました。

     この角膜生体材料の研究と開発は、チュラロンコーン大学医学部の教授やスタッフによって支援されており、現在は動物実験段階にあります。このプロジェクトは、National Research Council of Thailand (NRCT)から資金提供されています。この試験が成功すれば、次の段階として人間での試験が行われる予定です。

出典   :  National Science and Technology Development Agency (NSTDA)
111 National Science and Technology Development Agency, Amphur, Khlong Nueng, Khlong Luang District, Pathum Thani 12120, Thailand
電話番号: +66 2564 7000

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