タイは、ドリアン産業を中心に、地域農業協力の強化に取り組んでいます。ドリアンは「奇跡の果実」とも呼ばれ、世界市場、特に中国、日本、韓国、欧州連合(イーユー)などでの需要が二千万トンに拡大し、将来的には八百億ドル以上の経済価値を生むと予想されています。こうした背景のもと、タイはアセアンの枠組み内で、主要生産国であるタイ、ベトナム、マレーシアの協力を促進する「アセアンドリアン連盟」の設立を提案しています。この連盟は、生産データの共有、生産技術の移転、製品基準の統一、ブランドづくり、価格報告制度、共同投資の促進など、六分野での連携を目指しています。この構想は、ベトナムのドリアン主要生産地であるダクラク省でも歓迎されており、政策・実務レベルでの協力、輸出基準や法律の整備などを議論する合同作業部会の設立も検討されています。タイはこの連盟を、収穫後管理や加工品の付加価値向上、国際市場ネットワークの強化、生産コスト削減、競争力の確保など、持続的な産業発展の鍵と位置づけています。さらにこれは、タイがアセアンにおける農業のリーダーとして、戦略的資源であるドリアンを活かし、近隣国との協力を基盤に、国際市場での主導的地位を確立する取り組みでもあります。